活動記事:外部イベント報告

第12回アジア太平洋3R・循環経済推進フォーラム

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イベント名 第12回アジア太平洋3R・循環経済推進フォーラム
開催日 2025年3月3日~3月5日
開催方法 インド・ジャイプール市内 会議場
概要 JPRSIは第12回アジア太平洋3R・循環経済推進フォーラムに参加しましました。本記事にて、会員の皆さまの活動に資する情報を共有します。
なお現地での出展ブースでは、循環経済に資する会員企業の廃棄物処理や脱炭素技術を紹介しました。
本フォーラムの目的は、アジア太平洋地域における3Rおよび循環経済の推進に貢献する制度や技術の情報共有、ハイレベルによる対話の推進でした。アジア諸国及び太平洋島嶼国30カ国の政府・国際機関・民間企業・研究機関、NGO等から約1000名が参加し、活発な議論が行われ、
2025年から2035年の10年間における3R・循環経済関の目標を定めた「3R・循環経済に関するジャイプール宣言」が採択されました。
関連資料

イベントの様子

第12回アジア太平洋3R・循環経済推進フォーラムとは

アジア各国における3R推進による循環型社会の構築に向け、アジア各国政府、国際機関、援助機関、民間セクター、研究機関、NGO等を含む幅広い関係者の協力の基盤として、日本国環境省の提唱により2009年11月に前身であるアジア太平洋3R推進フォーラムが設立されました。その後、改編を経て現在に至ります。本記事にて、会員の皆さまの活動に資する情報を共有します。

循環型社会の加速と廃棄物資源分野の脱炭素技術

循環型社会の加速に関するサイドイベント(Accelerating Circular Society: Expansion and Reproducibility of Municipal Achievements in 3R and Circular Economy)では、3Rや循環型社会を実現する上での、都市の課題に対する革新的な解決策を実現する自治体の役割に着目し、都市や自治体による取組と成果、さらにはその成功要因について理解を深めました。

自治体の中には、廃棄物削減、資源効率化、脱炭素化において革新的な政策や実践的な取組を通じて循環型社会の形成へ大きな進歩を遂げたところもあり、これらの成功モデルから、都市・自治体が循環型社会への移行をいかにリードできるか貴重な示唆を得られました。本セッションでは、政策、技術、コミュニティ参画等のアプローチを通じて、他の都市への導入・再現性を高め、循環型社会への移行を加速させることを目的に、鹿児島県大崎町のリサイクルの取組とインドネシアに拠点を置きコミュニティの支援を実施しているKopernikが実施する循環経済に関するさまざまな取組事例が紹介されました。
続くパネルディスカッションでは、以下の議論がなされました。

●大崎町、Kopernikに加えてUN-Habitat、UNIDO、ラジャスタン州公害防止委員会、ジャイプール市が参加し、それぞれの立場での廃棄物処理に関する実状と課題・取組、循環経済の推進に関する活発な議論が行われました。

●都市の取組はコピー&ペーストのようなアプローチではなく、地域特性にソリューションを適合させることが重要であるという意見や、そのためにも事例共有とコラボレーション、パートナーシップの推進が肝要であるというポイントが示されました。

また「循環経済の実現に向けた廃棄物・資源分野における脱炭素技術」(Decarbonization Technologies in the Waste and Resources Sector for Realizing a Circular Economy)では、日本の経験をもとに、ネット・ゼロ達成、循環経済の実現を目指した最新の廃棄物処理および廃棄物発電や焼却熱利用といった、エネルギー回収・利用への取組が紹介されました。

このサイドイベントでは、日本企業各社より、廃棄物発電、焼却熱利用技術、CCUS、埋立工法(福岡方式)、浄化槽、下水汚泥処理・固形燃料化、廃棄物管理の総合コンサルティングといった技術や経験が幅広く紹介されていました。改めて、日本で培われてきた技術・経験は世界に誇れるものであり、インドおよび多くの国・都市で抱える課題解決に確実に貢献するものであることを実感できる機会でした。一部を紹介します。

●JFEエンジニアリング
ネットゼロを実現するための技術の柱として廃棄物発電(Waste to Energy)+CCUS(Carbon dioxide Capture, Utilization and Storage)、 Waste to Chemical等の技術を有します。質疑応答では、上流側での脱炭素技術として捉えられる廃棄物関連技術の可能性について、Waste to Energy処理をする前の廃棄物量を削減することが第一であり、そのためサプライチェーンでの取組や廃棄物量を削減するための後処理プロセス(コストに依存)等の可能性がある(3R+アップサイクルのコンセプトを導入)旨、回答がありました。

●カナデビア
廃棄物処理のコンセプトとして、Waste to EnergyからWaste to Xに移行してきており、廃棄物を処理することにより得られる熱やガス、発酵プロセスを利用することにより、Xとしてエネルギーやガス、材料、燃料などの生成技術を有します。

●三機工業
省エネルギーおよびCO2削減技術として、2011年にトランスヒートコンテナ・システム(Trans-Heat Container System:THC)の技術を導入しています。

●エイト日本技術開発
総合建設コンサルタント会社として、廃棄物の埋立処理に関し、「福岡方式」と呼ばれる準好気性埋立方式を、パラオなどの途上国に展開しています。

国際展示会への日本企業の出展

本フォーラムでは、インド政府と協力して資源循環分野における国際展示会を開催し、廃棄物発電や浄化槽、計測・モニタリング等の技術を有する日本企業の出展がありました。インド住宅都市省のマノハル・ラル大臣やトカン・サフ閣外大臣、ラジャスタン州のシャルマ州首相(Chief Minister)、インド環境森林気候変動省のヤーダブ大臣等も展示会場を周っていました。

日本企業の技術をインドの大臣や首相へ紹介

JPRSIの活動について展示

所感

会場ではチャイが常時サーブされており、ホスト国・インドのおもてなしの心を感じました。

本フォーラムは、出展に関する準備期間が短かったにもかかわらずインド国内から非常にたくさんの企業が出展しており、関心の高さがうかがえました。会場設営や展示ブースの装飾などは、夜を徹して行われていました。

参加した日本企業も大きな手ごたえを得たようです。JPRSIブースにも多くの訪問者があり、日本の優れた技術を紹介することができたと考えています。


冒頭写真:都市・自治体の取組や成果が共有された

日本では戦後の経済発展および都市への人口集中に伴って都市ごみが急増し、公衆衛生の悪化が大きな社会問題となったことから、ごみの衛生処理と減容化のため、各都市でのごみ焼却施設の導入が進められるとともに、埋立方式についても革新的な工法が開発・導入されてきました。近年は、廃棄物の焼却に伴う熱や電力等のエネルギーを回収し活用する廃棄物発電システムの導入が進み、3Rの実施と適正処理を確保した循環型社会形成の促進に大きく寄与している