活動記事:イベント報告
日本・インド環境ビジネス促進セミナー
- JCM締結に向けた期待が示される-
イベント名 | 日本・インド環境ビジネス促進セミナー |
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開催日 | 2025年3月4日 |
開催方法 | インド・ニューデリー市 The Leela Palace New Delhiホテル |
主催等 | 主催 日本国環境省 後援 インド商工会議所連合会(FICCI)、インド日本商工会(JCCII)、地球環境戦略研究機関(IGES)、海外環境協力センター(JPRSI事務局・OECC) |
概要 | インドとのJCM二国間協定の締結を促進するため、今後考えられる環境協力に関するセミナーとして、JCMの概要、パートナー国のメリット、日本が提供できる脱炭素技術、これまでの優良事例について紹介した。 |
アジェンダ |
1) 開会挨拶 |
関連資料 |
イベントの様子i
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登壇中のインド元環境森林・気候変動省事務次官 |
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日印の環境協力に関するパネルディスカッション |
インドの環境課題解決に向けて
2025年3月、「日本・インド環境ビジネス促進セミナー」がインド・ニューデリーにて開催されました。セミナーでは、JCM二国間協定の締結に向けた期待の高まりを背景に、日本政府および企業によるJCMの紹介に続いて、インドで事業展開する企業により、インドの環境問題解決と持続可能な社会の構築に貢献する技術についての発表がありました。また、パネルディスカッションやビジネスマッチングでは今後に向けた環境協力に関する活発な意見交換が行われました。本セミナーは対面のみの開催でしたが、登壇者も含め約120名が参加し、インド企業によるJCMへの強い関心が感じられました。
JCMおよびJCM案件開発
JCMの最新動向、二国間クレジット制度日本基金(JFJCM)、JCM実現可能性調査、JCM事業形成について、環境省地球環境局、アジア開発銀行、日本の民間コンサルティング会社、海外環境協力センター(OECC)より紹介を行い、インド政府および民間企業のJCMに対する理解促進に繋がりました。
JCMパートナー国におけるJCM優良事例
これまでJCMパートナー国で実施したJCM設備補助事業2件と、インドで実施した圧縮バイオガス技術に関するJCM実現可能性調査について発表がありました。
事例を抜粋して紹介します。
① ベトナム・バクニン省における廃棄物発電事業(JCM設備補助事業)
JFEエンジニアリング株式会社
事業概要:ベトナム国バクニン省内に大型廃棄物発電施設を導入する事業です。
同地域内で発生し、埋立処理されていた230t/日の一般廃棄物を、導入した大型廃棄物発電施設で焼却処理し、発電を行いました。
ベトナム国における廃棄物の適正処理、および化石燃料を使用しない発電による電力供給を実現しました。
② フィリピンにおける地熱発電事業(JCM設備補助事業)
Energy Development Corporation(EDC社)ビジネス開発グループ
事業概要:フィリピンの地熱発電設備容量は世界第3位であり、現在、積極的に開発が進められています。
新設されたバイナリー地熱発電所は、地熱発電所で生じる熱水から熱エネルギーを回収し、有機ランキンサイクル技術(熱交換により有機媒体等の気体を作ることでタービンを回す技術)を用いたバイナリー発電iiにより、28MWの追加発電を行うものです。
③ インドにおける圧縮バイオガス技術(JCM実現可能性調査)
三菱商事インド株式会社
事業概要:圧縮バイオガス(CBG)技術は、インドが直面している主要な環境および経済課題に対処し、インドの気候変動戦略に整合させています。CBG技術は、パリ協定6条2項活用分野としてインド政府が発表している14の分野の一つとして記載されています。
JCM実現可能性調査を通じて、JCMスキームの導入がその技術価値を高め、事業の実現可能性を高めることが確認されました。他国からのさらなる投資が期待されます。
インドにおけるグリーン経済投資を促進するポテンシャルプロジェクト
インドに事業展開している以下の日本企業より、自社が保有する脱炭素技術の紹介や、インドで実施している脱炭素プロジェクト等について発表がありました。
① 水素製造装置
カナデビア株式会社
② アンモニア利用
株式会社IHI
③ 二酸化炭素回収(CDR)技術
インド三菱重工業株式会社
④ 太陽光発電+大容量蓄電池システム(BESS)
Indiahub E-Governance Private Limited(ファームドゥ株式会社と提携)
⑤ エネルギー管理システム
株式会社堀場製作所
⑥ 蒸気管理システム
株式会社TLV India Private Limited
⑦ コークス乾式消化設備(CDQ
日本製鉄株式会社 NIPPON STEEL INDIA PRIVATE LIMITED
パネルディスカッション
日本・インドの環境協力をテーマに、インド電力省エネルギー効率局、日本国環境省、インドの製鉄会社Jindal Steel and Power LimitedおよびTata Steel、FICCI、国際協力機構(JICA)によるパネルディスカッションが行われました。
インド電力省より、両国のエネルギー分野における長期的な協力実績に言及があり、インドが掲げる2070年ネットゼロの達成には日本の技術が必ず役に立つと発言がありました。これに対し、日本国環境省からは、日本・インドの環境技術協力の継続と、JCMが脱炭素と経済成長の両立を促進することへの期待を示し、ネットゼロ社会の実現には政府と民間の協力が不可欠であると強調されました。またJICAから、クリーンでエネルギー効率の高い技術への投資の主流化には、政府や民間企業を含む関係者全体の認識向上が重要であると示されました。
インドの製鉄会社からは、ネットゼロ社会の構築のための大規模な技術導入の必要性や、インド固有の条件や環境に配慮した日本の技術と資金活用の重要性について言及がありました。
FICCIからは、脱炭素と経済成長の両立には日本の技術と資金支援が不可欠であることと、JCMを通じた協力への前向きな姿勢が示されました。
各発表やパネルディスカッションでは、これまでの日本・インドの関係についてあらためて議論があり、JCMを通じた二国間協力の必要性が繰り返し強調され、セミナーは大盛況のうちに幕を閉じました。JCM二国間協定締結を望む声は多く、続くビジネスマッチングでも、今後の環境協力について両国の企業間で前向きな意見交換が行われました。
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ⅱ 蒸気等で熱を運ぶサイクルとタービンを回す2つのサイクルで構成される発電方式。