活動記事:セミナーレポート
2025年度 第2回JPRSIセミナー/年次総会
「COP特集・JPRSI活動報告」

| イベント名 | 2025年度 第2回JPRSIセミナー/年次総会「COP特集・JPRSI活動報告」 |
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| 開催日 | 2025年10月23日 16時~19時 |
| 開催方法 | 東京都内にて対面開催 |
| 概要 | 環境省では、8月に「環境インフラ海外展開基本戦略(令和7年版)」を策定、また同月インドとのJCM協力覚書に署名し、11月のCOP30ではジャパン・パビリオンで日本の優れた技術・取組を発信するために準備を進めるなど、日本の環境インフラ海外展開の加速化に力を注いでいます。本セミナー/年次総会では、上記をはじめとする環境インフラ海外展開の最新の取組を環境省担当官から紹介するとともに、国際動向に関する有識者講演やCOP参加企業のプレゼンテーションを実施しました。 セミナー終了後には名刺交換&交流会を実施し、環境省担当官や参加者のネットワーキングが促進されました。 セミナー登壇者情報については、下記「関連資料」ページをご覧ください。 |
| 関連資料 | https://jprsi.go.jp/ja/static/activity-archive/2025/r7_seminar2_report |
イベントの様子ⅰ
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東京大学 石井氏の登壇 |
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ほぼ満員となった会場 |
特別講演『システム転換を必要とする世界』
環境省地球環境局長の挨拶に続き、東京大学グローバル・コモンズ担当総長特使、未来ビジョン研究センター特任教授、グローバル・コモンズ・センター ダイレクター 石井菜穂子氏が登壇し、プラネタリーサイエンスの最新動向や世界のサステナビリティをめぐる状況を踏まえた、COP30及び経済システム転換に向けた展望について講演を行いました。9つのプラネタリー・バウンダリーのうち、新たに危険域に加わった海洋の酸化を含む7つにおいて危機的状況にあること、またサステナビリティ専門家の大半が、現在のサステナビリティへのアプローチでは目的を達成できないと回答(“Sustainability at a Crossroads”の調査ⅱより)している現状に触れ、根本的な経済システムの転換が必要であることが説明されました。気候変動と生物多様性の問題は、結びついたひとつの危機であるという認識が世界で広がっており、COP30では、議長国であるブラジルが、熱帯林保護基金(TFFF:Tropical Forests Forever Fund)の発足を掲げていることが紹介されました。さらに、自然資本の本来の価値を評価し、経済的意思決定に組み込むことが、ネイチャー・ポジティブ経済を実現するために重要であるとして、ANCA(Africa Natural Capital Alliance)サミットⅲの動向や、NBSI(“Nature on the Balance Sheet” Initiative)における国際的なルールメイキングに向けた取組ⅳ等が紹介されました。
環境インフラ海外展開の最新情報とJPRSI活動報告
環境省担当官からは、環境インフラの海外展開動向に関し、今年度策定された環境インフラ海外展開基本戦略(令和7年版)ⅴにおいて、グローバルサウス諸国が共創パートナーとして位置づけられ、制度的基盤構築、市場形成、パートナーシップ強化の3つの柱に基づき戦略的に取組強化を進めること、また10月に行われたアジアゼロエミッション共同体(AZEC)閣僚会合の概要報告、そして、JCMにおいては、8月に署名がなされたインドをはじめとするパートナー国との最新状況について共有がなされました。続いて、JPRSIの活動報告として、ウェブサイト及びメルマガのリニューアルが実施されたことや、昨年度のセミナー開催状況、ビジネスマッチング・セミナー、環境ウィークといったビジネスマッチング・イベント開催結果の報告、また、チーム環境(各国における環境省出向者との連携)活動についての紹介がありました。
COP29出展企業からの発表
COP29のジャパン・パビリオンに出展参加し、今年のCOP30でも現地出展を予定している株式会社アークエッジ・スペース福代孝良氏が登壇し、地球環境課題を宇宙からモニタリングすることのできる、超小型衛星の開発からサービス提供までのソリューションについて紹介がされました。そのうえで、COP29への参加経験から、COP参加の魅力は、普段アプローチできない様々な国の方々とコミュニケーションをとることで、現地のニーズや、課題の発見、また新たなサービスのアイデアを得ることができる点であると述べられ、COP29をきっかけに協力が始まった事例等が紹介されました。また、COP30に向けては、開催地であるベレンに、自身が1年半ほど滞在していたことに触れ、現地にはアグロフォレストリーを実践している日系コミュニティがあること等の現地情報を紹介しつつ、衛星データを活用したアマゾンの熱帯雨林保全への貢献に向けた抱負も述べられました。
交流会
セミナー後の交流会では、参加者と環境省担当官が、また参加者どうしが、活発に意見交換している様子がうかがえ、予定していた時刻を超過しても話が終わらない方も多く見受けられました。また会場では、COP30のジャパン・パビリオンでも設置予定であるタブレットを設置し、参加者のみなさまに直接操作いただきながら、COP30ジャパン・パビリオン バーチャル展示サイトを自由にご覧いただきました。実際にご覧いただいた参加者からは、“この技術を持つ企業と話してみたい”という声もあり、企業間の新たな協業の可能性も垣間見ることができました。
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バーチャル展示サイトを閲覧する参加者 |
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交流会での活発な意見交換 |
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